皆さんは粗利(アラリ)という言葉を聞かれたことはありますでしょうか?
売上から原価を引いたものが粗利です。
建設業で言えば、売上から材料や賃金・外注費などを引いたもの、
運送業で言えば、売上からドライバーさんの賃金や外注費を引いたものです。
この粗利、個人で3つ、法人だと5つある利益の中で1番大切かもしれません。
こちらを読んでいただければ
1.粗利がなぜ大切なのか
2.いくら稼げばいいのか
3.粗利率ってどう考えればいいのか
が分かります。
1.粗利がなぜ大切なのか
粗利が大切と言いましたが、なぜ大切なのでしょうか?
もちろん、売上も大切な要素です。
営業利益や経常利益、当期純利益など様々な利益も大切です。
しかし、
① 売上だけを大きくしても、原価も多ければ、利益は残りません。
例えば、100万円の売上、90万円の原価ですと、10万円の粗利です。
それを1億円の売上にしても、原価が9,990万円かかっていれば、同じ10万円の粗利になります。
これは極端な例ではありますが、追うのは売上ではなく「粗利」なのです。
② 営業利益以下は、経費を使った結果でしかありません。
原価を使って売上を稼ぐ。
その差額が粗利となるわけです。
そして、そこからいわゆる経費が引かれて、営業利益以下が決まってきます。
もちろん、経費をどのようにコントロールしていくかも非常に大切なのですが、稼ぐことができるのは粗利までです。
稼いでいる粗利によって、使える経費が決まります。
つまり、必要な経費以上に粗利を稼ぐ必要があるのです。
このようなことから、中小企業においては、粗利を大切にしていく必要があると考えます。
2.いくら稼げばいいのか
では、粗利はいくら稼げばいいのでしょうか?
他のブログでも紹介していますが、以下の観点から考える必要があります。
① 損益分岐点を超える額
売上-原価=粗利=経費となる金額です。
借入の返済がある場合には、経費に返済額も加えて考えましょう。
② 必要な利益を加えた額
売上-原価=粗利=経費+利益となる金額です。
例えば、毎月100万の経費を使う会社では、100万以上の粗利が必ず必要になります。
もし、100万に足りないのであれば、基本的に売上を上げて粗利を増やさなくてはいけません。
しかし、売上を増やすためには、経費が必要になってくる場合が多いです。
そうするとどうでしょうか?
必要になる粗利額は更に増えていきます。
どうすれば必要な粗利額を稼げるのか。
パズルの様に考えていく必要があります。
3.粗利率ってどう考えればいいのか
当然、粗利率が良ければ良いだけ、必要な粗利額を稼ぐのは楽になります。
例えば、100万の粗利を稼ぐ必要がある場合
粗利率10%の会社であれば、1,000万円の売上が必要です。
粗利率50%の会社であれば、200万円の売上で稼げます。
では、粗利率が高い会社が良い会社なのでしょうか?
弊所では、そのようには考えていません。
「必要な粗利額を稼げる会社」が良い会社だと考えています。
それは、業界毎に一般的な粗利率が異なるからです。
例えば、建設業であれば25%くらい、軽貨物運送業であれば15%くらいになるでしょう。
一方、コンサルティング業であれば、100%に近いです。
一般的に、粗利率が高いほど、仕事を獲得しづらいです。
1,000万円の工事を受注することはあるでしょう。
1,000万円のコンサルティングを依頼することは、考えづらいのではないでしょうか。
ですので、特に初期は、粗利率を重視し過ぎないように伝えています。
あくまでも「粗利額」を稼げる事業を進めていくべきで、創業期においては、特にそうしていく必要があります。
必要な粗利額を稼げるようになったら、より粗利率が良い得意先、仕入先を開拓していくべきです。
このように、その会社の状況により、必要な粗利額を稼ぐためにどこに手を打てばいいのか、額と率のどちらを重視すればいいのかは変わってきます。
土谷会計事務所では、御社に必要な粗利額のアドバイスも行っております。
お気軽にお問い合わせください。