今回は、建設業で初めに目標とする数字「損益分岐点を超える粗利額」についてご紹介します。
建設業が伸びる一定の法則
日々、多くの新設法人や個人事業主の方々とお付き合いさせていただく中で、建設業が伸びるには一定の法則があると感じます。
もちろん、建設業といっても細かくやっていることは違いますし、仕事を受ける先や仕事の受け方も千差万別です。
会計では、売上の公式があります。
それは「売上=単価×販売数」だということです。
これはどの建設業でも変わりません。
建設業の売上は、
人工で仕事をしている会社にとっては、「1人当たりの日当単価×現場に入っている人数」
請けで仕事をしている会社にとっては、「請けた現場単価×稼働している現場数」 で決まります。
多くの社長は、この公式を意識せずとも使っており、どのくらいの売上が今月あるのかを把握している方がほとんどです。
目標は「損益分岐点を超える粗利額」
しかし、初めに目標としないといけないのは「損益分岐点を超える粗利額」です。
詳しくは、別の記事に譲りますが、損益分岐点というのは「売上-原価-経費=0円」になるポイントです。
まずはここまで来るだけの売上を狙います。
とはいっても、売上だけを見て、損益分岐点を考えられる会社はありません。
ですので「損益分岐点を超える粗利額」を目標とするのです。
「粗利額」とは「売上-原価」の事です。
つまり、損益分岐点とは「粗利額-経費=0円」のポイントと言い換えられます。
なぜ「粗利額」なの?
では、なぜ「売上」ではなく「粗利額」を追うのでしょうか?
それは「売上=単価×販売数」の単価が、人や現場によって違い、原価もそれぞれ変わってくるので、粗利率が全て変わってくるからです。
多くの計画では、
売上100円に対して、原価率が40%だから40円、つまり粗利が100-40=60円。
経費が60円であれば、損益分岐点ちょうどです。という計算をします。
しかし、現実はそんな風にいきません。
A現場では、粗利が60%出て、B現場では、粗利が30%出る。
そういった中で、全体をざっくり見た計画は実現しません。
もちろん、案件ベースで実績を基に積み上げて計画を立てていけば、現実に近い計画は作れます。
いったい何割の中小企業がそんなものを作れるでしょうか。
そこまでしなければ、会社は良くなっていかないのでしょうか。
弊所では、そのようには考えていません。
ですので、「粗利率」で見るのではなく「粗利額」を追ってもらうようにしています。
社長は「売上」の感覚はあると言いましたが、同時に「その現場がどのくらいの利益が出そうか」という感覚もあります。
つまり、売上100万円の現場でいくらの粗利額が出るかは分かります。
そうやって考えた、「粗利額の合計が経費の額を超えれば、損益分岐点を超えて利益が残る会社になれる」というのが初めの目標です。
「頭の中の粗利額」と「現実の粗利額」の差異を小さくしていく
弊所で行うのは、社長の「頭の中の粗利額」と「現実の数字としての粗利額」の差異を小さくしていく作業です。
僕もそうですが、多くの経営者は、売上や利益を希望的観測を持って見がちです。
それを実際の人件費や外注費・材料代を計算したものと付け合せます。
そうやって、差異を小さくしていくことで、計画を立てなくても未来の予測ができるようになってきます。
きちんと企業として拡大を目指す場合には、計画書を作ることも必要です。
しかし、初期の段階や、なぜか利益が残らない会社にとっては、上記のような作業を繰り返していくことの方が早期に効果が出ます。
土谷会計事務所では、建設業の個人事業主から法人まで幅広くお手伝いしております。
初回面談0円でご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。